超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

加藤寛一郎「エアバスの真実」

ムネ肉のストックがなくなってしまいました。

明日午後から行ってきますか。ついでにコショウも買うか。

私一人で明らかに使用しているから使用者責任ありありですよ。

 

 

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加藤寛一郎「エアバスの真実」

エアバスの真実
加藤寛一郎

講談社 1999年01月25日 

by ヨメレバ

 

 

 

 

なぜ、評判が芳しくなかったの?

航空機を作る会社、と聞いて思い浮かぶのはどこでしょうか?

やはり、有名なのはボーイングだと思います。私も航空機のメーカーといわれて

真っ先に思いつくのはそこですし。

 

ですが、別の会社があるということも忘れてはなりません。

それが、今回この本のタイトルを飾るエアバス社。フランスのメーカーです。

 

実は、私はエアバスがフランスのメーカーであるということを全く知りませんでした。

この本を読んで初めて知った次第なのであります。

どうやらこのエアバスの操縦システムはちょっと特殊みたいですよ…?

 

それを踏まえて、感想に行きますか。

ひょんなことからフランスのメーカーということを知った私。

そしてこの本は航空機の問題にとどまらない、日本が抱える様々な問題を

提示してくれる本でありました。

 

この本が出版されたのは20年以上も前のお話です。

ですが、愕然とさせられてしまったのは、日本の抱える問題というのが

これだけ時がたとうとも、まったくと言っていいほど解決がなされていないこと。

 

その中には依然SNSで意見提起としてみたことのある「研究費用の捻出問題」も

出てきておりました。

これは海外の場合だと占めるウェイトというのが多いのですが、研究資金を

調達するのが実は企業だったり、富裕層だったりの寄付がメインなんですよね。

 

その一方で日本はそれが見込めないという悲しきお話。

これは航空機の分野ではないのですが、ほかの分野で話は見聞きします。

予算が足りないということはそれはすなわち最新鋭の研究をするだけの

莫大な予算を捻出できず、それをあきらめねばならぬことを意味します。

 

つまりどうあがいてもこの国の研究にあまり未来というものはないということ。

すごーく残酷なお話をしていますが何事もお金です。新たな技術の発見も

また、お金なのです。意地汚いと思われるでしょうが、それが現実です。

 

それと研究分野にかかわる人も言えると思います。

本中では、(この本の出版当時)すでに斜陽状態のこの分野と比較して

ゲノムの分野での傑出した第一人者に関して取り上げています。

 

つまり研究を未来あるものにするにはそういう人が必要なわけです。

資金を獲得できるようなプロモーション能力(スキル)のある人がね。

だけれども航空機分野には残念ながらそれはなかったようです。

 

それと企業の問題もあるようです。

一応本中では航空機を出さなかったあるメーカー(伏せてない)は

だいぶ後にニュースになるような航空機を作りました。

ですが、その名前現在テレビとかSNSとかで話題になっていますでしょうか?

 

―残念ですが、なっていませんね。

話題になったのも不具合、というマイナスなニュースでしたからね…

そう思うとこの本中で指摘されていた企業の悪しき体質も

脱却できていないのかもしれませんね。

 

エアバス社のお話もしてくれや。

―そうでしたね。

この会社は、アメリカのメーカにはない、操縦システムを導入したことで

話題になりました。

 

ですがその技術はボーイングとは全く違ったシステムでしたので

最初のころはそのシステムにもどうやら不具合があった模様で

その評判はいかんせんよくはなかったようです。

 

ただし、そのシステムが改善されていくとボーイング社のシステムとは

また違ったシステムに魅力を覚える人が増えてきたそうで。

 

エアバス社のインタビューでも当初は「機械至上主義」的なメーカーではないかと

著者も思っていたようです。

だけれども関係者のインタビューから見えてきたものは

やはり最終的なところは「人」であるということでした。

 

確かにコンピュータの制御システムというのはとてつもなく有能だと思います。

実際にきちんとした入力さえされれば本当にパイロット側の負担は

だいぶ減るかと思われます。(でも機械の確認は大事ですよ!!)

 

ですがそれは「正しく利用できたら」というのが前提条件となります。

それが満たされない場合は、航空機事故の歴史からもあったように

パイロットエラーという原因での重大な事故へとつながります。

 

序盤のほうにそのエアバスで起こった事故というのがありますが

それは操縦側が正しく使えなかった「エラー」に起因しているものなんですよね。

(結構そういう関連の事故は多く、目的地指定をミスった結果墜落というのもあります。)

 

確かにそのシステムが致命的な欠陥の場合は別ですがこの本でのお話ではありません。

ですが、本中のケースだとエラーだったということで。

 

そう思うとこの違ったアプローチのあるこの会社の航空機は

きちんとした研修を受け、操縦すればとても素晴らしものではないかと

感じるんですよね。

でもどうも日本では評判がよくなかったようです。

保守的だからね…良くも悪くも。

 

おわりに

エアバスという会社がいかなるものか、というのの紹介も

非常に興味深く読むことができたのですが、日本が抱える種々の問題というのが

研究関連にかかわる人の悲痛な叫びとしてすごく響くものがありました。

 

今、日本の状況は決して良くはなく悪い報告しか聞かない日々が多いです。

そうなったのも、現状を見据えて対処しないという「事なかれ主義」が

はびこっているからなのかもしれませんね。

 

すべてを特定の人間に押し付けることなく、小さなところから着々と

問題は変えていかないとこの国の技術のいいところを強みに変えて、利益に

変えていくことは不可能だと思います。それは難しいことだけど

もう見ぬふりは無理よね。

 

おしまい!!

 

先頭に戻るよ!!