超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

赤川学「子どもが減って何が悪いか!」

何とも言えない静謐な雰囲気ですな。

この雰囲気、嫌いじゃない。

 

 

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赤川学「子どもが減って何が悪いか!」

子どもが減って何が悪いか!
赤川学

筑摩書房 2004年12月 

by ヨメレバ

 

 

【感想】

煽りタイトル系の新書、ありますよねー。

これって玉石混交で申し訳ないけれども

割とスカ率(個人の感想です)が高い気がするんですよ。

これも言ってはいけない気がするのですが

そうでもしないと売れないのでしょうねぇ…

 

 

さて、この本はどうでしょうか…

あ、この本はそうではないですよ。

タイトルはかなり挑発的なものとはなっていますが

中身はいたってまじめな男女共同参画にかんする

「歪な統計」をぶった切るものとなっています。

 

 

要するにそれが「統計というもっともらしい事実」を

もたらしつつ「一般の人に歪な事実を提示する」という

手段に使われているのではないか?ということ。

 

 

だって元も子もないことを言ってしまえば

統計に「自分たちに都合のいい要素」を

つらーっと紛れ込ませてもしたら

それをさもごもっともらしく統計という信ぴょう性の高い(?)

ものにまとめてしまえばわからねぇという算段。

 

 

これってだましていることですよね。

そしてその結果がさ、税金を無駄に使われている。

おいおいおいおいになるわけですよ。

 

 

著者はそういう国民にうそをつくような

統計が許せなかったのでしょうね。

それを暴かれるのをよしとしなかった人たちに

散々批判され、ののしられています。

 

 

でも、著者、実は少子化関連の人じゃないんですよ。

本人も自負している通りで

この分野に関しては素人。

しかしながら、近い領域にいる人ではあるのです。

ジェンダーのほうの統計を見る人ですからね。

 

 

で、彼が導き出したことというのは

結果的には少子化は残念ながら不可避ということ。

冷静に考えれば確かに、なんですよね。

昔は成人する人たちが少なかったからこそ

出生率は多かった。

 

 

で、今。産後に死亡する子供も少なくなったでしょう?

それに人によっては結婚が人生において「束縛」に

なってしまう人だって存在しますし。

そして私のようにいわゆる男女の枠には埋まらない人もいるわけで。

そういう人たちに子供を望めるかしら?

 

 

で、著者が言っていたことは

産む選択肢を選んだ人も、そうでない人も

それが間違いでないという社会を作ること。

もうね「~だからズルい」が出る時点で成立してないわけ。

そう思う人たちが多いうちは、まずこの国に変化は望めないだろうね。

まず変わらないといけないのは「個」なんだけれどもね。

 

 

課題をこちらに提示するような本でした。

快適さを取るには「犠牲」が必要ということ。