超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

水上勉「水上勉全集 10」

デトックスが大変強烈でございます。

でもこれ、アルコール経由しないのならば

常備薬として持っておくかな。

ただ少々、デトックス物があれになるけど…

 

 

f:id:misasaru:20191216092739p:plain

 

 

水上勉「水上勉全集 10」

水上勉全集 10
水上勉

中央公論新社 1976年12月 

by ヨメレバ

 

 【感想】

2つの作品が入っていますが、

ほぼ1つの作品でこの本が出来上がっているとみなして

よいかと思います。

 

 

その作品が「凍てる庭」という作品です。

読んでいるうちに読者は違和感を覚えてしまうかもしれません。

「ムム?この作品、やけに生々しくはないかね?」

 

 

ええ、その直感は正解だと思いますよ。

なぜならばこの作品、著者が体験したことなのですから。

 

 

なんてことのない夫婦。

一つ特徴的といえるのは、ちょっと夫がふがいないところでした。

なかなか収入につながる仕事にありつけなかったのです。

 

 

妻はそれでも彼を支えようとキャバレーで働いて

生活を支えていきますが

だんだんとそこにはかげりが見えてきます。

 

 

そう、夫はサレ夫になってしまったのです。

ふがいない男に愛想をつかした妻に、

捨てられてしまったのです。

 

 

そして、悲しきことに彼は妻の家族から

ロクに信用されていなかったのです。

確かに不器用だったけれども

あんまりではないかと…

でもそうなってしまったのには

あまりにも動かない何かがあったのでしょうね。

 

 

でもでも!!どちらもあまり片方の親御さんには

恵まれていなかったはず!!

と、思うと、男女の関係ってわからないものですね。

 

 

このままいくと理不尽な思いを男はするかと思うと…

そうではないんですよね。

不器用ではあったものの、彼は酒飲み以外は

正直な人間でしたからね。

どこからか妻の不貞がばれていたようです。

まあ、あれだけ堂々していれば、ばれないわけがないのよね。

(そもそも彼女にも前科があったみたい)

 

 

そして何とか親権を得た男は

まだまだ這い上がれないながらも

たまたま出会った人に助けられ、友人にも助けられて

ついぞ、ひとつの幸せを手にしていくんですよね。

それが再婚相手の女性です。

 

 

それでも危険な描写はあるんですけどね。

そう、かつて妻がしたことと同じ状態に

陥ってしまいます。

でも、再婚相手の女性は

結婚する前に悪い男につかまってひどい思いをしているので

それはなかったようですが…

 

 

付随の作品はこれもノンフィクション的なもの。

不思議な出会いの作品でした。

これは感想は省略で。